Tuesday, August 15, 2017 10:57 AM

揺らぐ不戦、平和誓う 首相、今年も加害触れず

 終戦から72年を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京の日本武道館で開かれ、参列者は平和への誓いを新たにした。安全保障関連法の運用が本格化。憲法改正も現実味を帯び「不戦」堅持が揺らぐ中、安倍晋三首相は式辞で「戦争の惨禍を繰り返してはならない」と強調したが、アジア諸国への加害責任には今年も触れなかった。天皇陛下は戦後70年の式典から3年連続となる「深い反省」との文言が入ったお言葉を読み上げられた。

 ミサイル問題などで北朝鮮情勢が緊迫する中、安倍首相は「わが国は戦争を憎み、平和を重んずる国として歩んできた。この不動の方針を貫く」と明言。「争いが絶えることのない世界で、貧困問題などに真摯に取り組み、世界の平和と繁栄に貢献する」と述べたが、5年連続で加害責任には言及せず、「不戦の誓い」との言葉も使わなかった。

 6月に特例法が成立し、来年末か再来年春に想定される退位が迫り、式典参列も来年が最後とみられる陛下。「深い反省とともに、戦争の惨禍が繰り返されないことを切に願う」とのお言葉や、「全国戦没者之霊」と記された標柱をじっと見つめる姿に、非戦や戦争体験の継承を願う、変わらぬ思いがにじんでいた。(共同)