Friday, September 22, 2017 11:50 AM

電通社長、違法残業を謝罪 検察「会社の利益優先」

 広告大手電通の違法残業事件で、労働基準法違反罪に問われた法人としての同社の初公判が22日、東京簡裁(菊地努裁判官)で開かれた。山本敏博社長は起訴内容を認め「心からおわび申し上げる」と謝罪。検察側は「会社の利益を優先し、社員の心身の健康を顧みなかった」として罰金50万円を求刑し、即日結審した。判決は10月6日。

 2015年12月に新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺したことに端を発した事件は、働き方改革の議論に大きく影響した。

 検察側は冒頭陳述で「労働基準監督署から繰り返し指導や是正勧告を受けたのに、抜本的な解決策を講じなかった」と指摘。深夜残業や休日出勤をいとわない「クライアントファースト(顧客優先)」の考え方で、全社的に長時間労働が行われていた企業風土を批判。論告では「指名停止処分を受け、東京五輪・パラリンピックの商機を逃すことを避けようとするなど利益を優先させた」と述べた。事件を「氷山の一角」とも強調した。(共同)