Thursday, October 19, 2017 10:35 AM

核の非人道性、大幅後退 「あらゆる使用」削除

 日本政府が国連総会第1委員会(軍縮)に先週提出した核兵器廃絶決議案は、米国の意向を反映して、核兵器使用の非人道性を巡る表現が例年の記述より大幅に後退していることが19日、分かった。日本の核軍縮外交の柱である包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効促進に関してもトーンダウンした。複数の関係筋が明らかにした。

 昨年までは「核兵器のあらゆる使用」が「壊滅的な人道上の結末」をもたらすと明記していたが、今年の決議案からは「あらゆる」が削除された。軍縮専門家は「一部の核使用は非人道的な結果を招かず、場合によっては許容されることを意味する」(長崎大の鈴木達治郎教授)と批判している。

 決議案については核兵器禁止条約に触れていないことが既に判明しているが、核戦力の近代化を進める一方、核軍縮には後ろ向きなトランプ政権に配慮する形で、核廃絶を目指す被爆国の訴えが骨抜きになっている実態が浮かび上がった。(共同)