Monday, March 05, 2018 11:19 AM

首相、過労死「報告なし」 野村不の裁量制違法適用

 安倍晋三首相は5日の参院予算委員会で、不動産大手の野村不動産(東京)の男性社員が裁量労働制の違法適用を受け自殺した問題を巡り、昨年12月に労災認定されていたことについて「報告を受けていない」と述べた。加藤勝信厚生労働相も「当時は承知していなかった」と説明した。民進党の石橋通宏氏への答弁。

 首相はこれまで、働き方改革関連法案に盛り込む予定だった裁量制の拡大で働かせ放題にならないか問われた際、東京労働局が昨年12月に同社を特別指導したことを例に挙げ「制度が適正に運用されるよう今後とも指導を徹底する」と答弁。しかし指導のきっかけになったとみられる男性の自殺は明らかにしていなかった。

 裁量制乱用による過労自殺の判明で、野党は反発を強めている。石橋氏は「あたかも(指導監督が)機能した好事例のように答弁していたが、実際には過労死が起きている。現行制度に問題がある証左だ」と追及した。(共同)