Thursday, April 26, 2018 11:50 AM

事前防災の過失、初認定 大川小訴訟、仙台高裁判決

 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が、市と県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は26日、震災前の市や学校の防災体制について初めて過失を認定した。一審判決を変更し、浸水予想区域外にあった大川小への津波襲来の危険性は予見可能だったと判断。賠償額も約1000万円増額し約14億3600万円の支払いを命じた。

 これまでの津波訴訟では、企業や学校の震災前の過失が認められたケースはなかった。大川小訴訟の一審仙台地裁判決は、教職員による避難誘導の過失認定にとどまったが、二審で校長や市の組織的過失も認定。国が震災を教訓として学校の安全対策を進める中、高いレベルの防災体制を求める判決で、全国の教育関係者に大きな影響を与えそうだ。

 判決理由で小川浩裁判長は「大川小が津波浸水予想区域に含まれていないとしても、北上川近くにあることから津波の危険性はあり、十分に予見できた」と言及。市が大川小を津波の避難場所に指定していたことも「誤りだった」とした。(共同)