Wednesday, August 17, 2016 10:19 AM

TPPを早期に批准せよ〜UPS、議会に呼びかけ

 配送大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は、関係国・地域が合意した環太平洋経済連携協定(TPP)に批准しなければ米国が国際貿易ルールの設定に関与できなくなる可能性があると懸念しており、TPPを早期に批准するよう連邦議会に働きかけている。

 ロイター通信によると、中国は現在、「東アジア」という枠組みで経済連携を目指す東アジア地域包括的経済連携(RCEP)で他の15カ国との協議を進めており、UPSのデイビッド・アブニー最高経営責任者(CEO)は「この協議がまとまれば中国がその地域の貿易ルールを設定することになる」と指摘。米国は早急にTPPに批准する必要があるとの考えを示した。

 今年は11月8日の大統領選が終われば議会は日程消化のための「レイムダック・セッション」になる可能性が高いため、UPSは議会の承認を得られる最大の好機は年内と見て、TPPを支持していない議員を対象にロビー活動を展開している。

 UPSは、自由貿易は輸出業者やUPSの雇用を増やし、TPPは米小企業の輸出増に貢献するという考え方で、アブニーCEOは「チャンスは年内が最も大きいと考えている。それが唯一とは言わないが、最善のチャンスだと思う」と述べた。

 TPPは世界の国内総生産(GDP)総生産の40%に及ぶ経済圏が対象で、オバマ政権は米国が世界貿易を主導できると見て交渉に加わったが、次期大統領候補は民主党のヒラリー・クリントン候補、共和党のドナルド・トランプ候補ともにTPPの合意内容を批判しているため、今後の行方は不透明だ。