Tuesday, June 12, 2018 11:19 AM

米朝接近でアジア新局面 首脳会談で共同声明

 トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が史上初の米朝首脳会談で署名した「緊張と敵対関係の克服」をうたう共同声明は、米朝接近という新局面を象徴し、アジアの秩序を転換させる可能性を秘める。金氏が「完全な非核化」を直接約束したのも前進だ。ただ、時期や検証方法など重要な具体策は先送りされ、確実な履行に課題を残した。

 会談で金氏は過去の克服に決意を示し、国際的孤立から脱却して変化を求める意欲をうかがわせた。米国でも北朝鮮の核ミサイル技術向上への危機感から問題を放置できないという世論が高まっている。これまでの米朝交渉と異なるのは両国トップが直接会って関係改善に強い意欲を示している点で、局面を打開する好機と言える。

 ただ、共同声明は非核化に関し「完全な」と明記したが、米国が共に求めてきた「検証可能」「不可逆的」という部分は盛り込まれなかった。保有核兵器の廃棄方法や非核化の検証は、今後の交渉に委ねられた。(共同)