Monday, June 18, 2018 11:09 AM

米輸入制限を名指し批判 世界に悪影響と貿易報告書

 経済産業省は18日、2018年版の不公正貿易報告書を発表した。鉄鋼・アルミニウムの輸入制限をはじめ、保護主義的な通商政策を強めるトランプ政権を名指しで批判。「対抗措置の応酬を通じて負の影響がグローバルに拡散しかねない」と懸念を示した。米輸入制限への対応方針として、世界貿易機関(WTO)への提訴も視野に問題解決を図ると初めて明記。欧州連合(EU)とも連携し、2国間や多国間の枠組みを使って対米交渉を進める。

 米国が自動車の輸入制限に向けて調査を始めたこともけん制した。世界貿易の大きな割合を占めているとし、発動されれば自由貿易に深刻な影響を与えると警鐘を鳴らした。輸入制限措置は多くの国が自由貿易に参加し、相互に利益を得る「多角的貿易システム」に悪影響を及ぼしかねないと指摘した。

 米国は3月、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税を課す輸入制限を発動。6月15日には知的財産権侵害を理由に、年間約500億ドル(約5兆5000億円)に相当する中国製品に制裁関税を課すと発表した。報告書はこのような動きを、貿易赤字に代表される自国に不利な結果のみを理由に、相手国の貿易政策を不公正と評価する「結果志向」だと非難した。(共同)