Thursday, June 21, 2018 10:57 AM

ミサイル避難訓練中止へ 政府、北朝鮮対話に配慮

 政府は、北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定し2018年度に各地で予定していた住民避難訓練を中止する方針を固めた。関係者によると、栃木、香川両県など9県の自治体で年度内に計画されていた。総務省が近く正式通知する。米朝首脳会談が12日に開かれるなど対話ムードが広がっており、現時点で北朝鮮が弾道ミサイルを発射する可能性は低いと判断した。政府関係者が21日明らかにした。

 9県はほかに、宮城、新潟、富山、石川、奈良、徳島、熊本の各県。群馬、福岡両県では既に実施した。ただ中止対象の県では、北朝鮮が弾道ミサイルを撤去したわけではないとの不安があり、戸惑いの声が出ている。ある県の担当者は「弾道ミサイルの脅威は残っている」と指摘。他県からも当惑の声が出た。

 訓練は、政府や地元自治体、警察、自衛隊などが連携し、全国瞬時警報システム(Jアラート)や防災行政無線での通知を受け、住民が公共施設に避難するといった内容。関係者は「8月に予定していた米韓合同指揮所演習が中止されるなど世界的な情勢を考慮した」と述べた。政府が日本人拉致問題で北朝鮮との交渉を求めている現状も背景にあるとみられる。(共同)