Friday, June 29, 2018 11:03 AM

2000億円の公募増資を中止 シャープ、株価下落が影響

 シャープは29日、7月に実施するとしていた2000億円規模の公募増資を中止すると発表した。米中間の貿易摩擦などによる株式市場の不安定化を理由としており、シャープの株価が増資計画の発表後に大幅に下落したことも影響した。増資により経営危機時の「負の遺産」を処理し、財務を正常化して攻めの経営に転じる考えだったが、戦略の練り直しを迫られる。

 シャープは今月5日に公募増資の実施を発表。22日には詳細な手続きも決め、最大2162億円を調達した上で、このうち約1850億円を過去の経営危機時に金融機関に発行した優先株の買い取りに充て、300億円を超高精細な映像技術「8K」など成長分野の投資に回すとしていた。

 しかし、増資に伴い流通する株式の価値が低下する「希薄化」への懸念が市場に広がったことで、増資発表前は3000円前後だった株価が28日には2300円台まで下落。シャープは「株主などの利益を最大化するには至らないと判断した」として一転して中止を決めた。(共同)