Tuesday, July 03, 2018 11:21 AM
目に涙、残酷な幕切れ 西野監督、濃密な43日
いつもはクールな人の目に涙が浮かんだ。西野朗監督(63)が「善戦だけではなく、勝ち切らなければならない」と強い決意で臨んだベルギー戦の幕切れは残酷だった。2点差を追い付かれ、延長突入かと思われた後半ロスタイム、最後の最後で「ああいうスーパーカウンターを受けるとは」。怒濤のような速攻でゴールを奪われ、つかみかけた日本初のワールドカップ(W杯)8強が手からこぼれ落ちた。
0-0の前半から一転、真っ向勝負の打ち合いが始まった。後半早々に先制したのは日本だ。原口元気(ハノーバー)、乾貴士(ベティス)が相次いでネットを揺らす。2-0。思わず監督も拳を握った。「本気になったベルギーとフルパワーで戦う」。追い詰めた相手から真の力を引き出し、その上で勝つ。理想の展開に持ち込んだが、欧州の実力国が秘める反発力は想像を超えた。
ハリルホジッチ前監督の後を継いで3カ月足らず。選手の声に耳を傾け、個性を生かす「日本らしいサッカー」にこだわった。日立製作所(現J1柏)での現役時代は天才肌の中盤で将来を嘱望された。しかし、アマチュアの企業スポーツは個性より目先の成績が最優先され、伸び悩んでスパイクを脱いだ。だからこそ個々の長所を尊重する。日本人が持つ組織力と技術、走力と連動性などの強みを前面に出し、パスをつないで果敢に攻め込むスタイルを信じた。(共同)