Tuesday, July 03, 2018 11:25 AM

首相、イラン訪問断念 核合意離脱の米に配慮

 安倍晋三首相は、検討していた今夏のイラン訪問を断念した。複数の日本政府筋が3日、明らかにした。核合意を離脱してイランへの態度を硬化させるトランプ大統領に配慮せざるを得ないと判断した。イランからの原油輸入打ち切りを求める米国への対応では、日本政府が「エネルギー事情に照らして応じ難い」(外務省幹部)と反論し、平行線をたどっている。

 イラン訪問計画を巡り日本政府は、首相が7月中旬に同国の首都テヘランを訪れ、ロウハニ大統領と会談するスケジュールを想定し、イラン側と調整していた。首相としては、米国が北朝鮮並みに警戒するイランと意思疎通を図ることで、日本の独自外交を印象づける狙いがあったが、同盟国に対イラン包囲網形成への協力を求める米国の同意を取り付けられなかったもようだ。安定した日イラン関係を維持したい日本としては、米国とどう折り合いをつけるかが課題になる。

 関係者によると、政府は6月下旬までに、首相のイラン訪問は実現困難だとの考えを同国側に伝えた。これに伴い、首相が7月中旬の中東歴訪の際に訪れる国は、サウジアラビアとエジプトの2カ国となった。首相は米イラン関係の推移を見極めた上で、改めてイラン入りの機会を探る。(共同)