Tuesday, July 10, 2018 10:49 AM

「自由貿易に挑戦」米批判 半導体に過剰生産の恐れ

 世耕弘成経済産業相は10日、2018年版の通商白書を閣議に報告した。米国の保護主義的な通商政策は「世界貿易機関(WTO)に基づく自由貿易体制への挑戦だ」と批判して、世界経済へのマイナスの影響を危惧した。中国政府による補助金制度のゆがみが鉄鋼の過剰生産につながったほか、半導体も同じ理由によって過剰生産が危ぶまれるとも指摘した。

 米中貿易摩擦の要因の一つである、中国の鉄鋼過剰生産問題の背景を分析した。中国の鉄鋼会社の利益率が生産拡大に伴って低下したのに、政府は補助金を増やして経営を支えた。非効率な生産設備が削減されず、世界市場に大量の鉄鋼製品が供給される結果を招いたと指摘。中国は現在、半導体産業を国策として育成しており、半導体も中国の過剰生産で市場が混乱する恐れがあると警告した。

 米国がメキシコ、カナダと結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を始めたことに触れ、自動車メーカーの影響は日系よりも米国の方が大きいと分析した。NAFTAが破棄されると、米自動車部品産業で5万人の雇用が失われるとし、自由貿易の重要性を強調した。(共同)