Tuesday, August 23, 2016 11:24 AM

トランプとは距離保つ〜シリコンバレーの幹部ら

 共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏は従来の同党候補と異なり、選挙で心強い味方となるはずの資金豊富なハイテク業界とは一線を画している。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、党候補の指名争いでは、ほかの候補者がシリコンバレーで積極的に政策会合や資金集めのパーティーを開く中でもトランプ氏はほとんど業界との関係を築こうとしなかった。ハイテク企業幹部は大半が民主党に近いとはいえ、政府の介入を嫌う「リバタリアニズム」の信奉者も含まれ、共和党が掲げる「小さな政府」の理念に共鳴する向きもある。

 そのためか、今回の選挙戦では共和党系の業界幹部の多くが大統領選より連邦議会選挙に資金をつぎ込んでいるほか、民主党のヒラリー・クリントン候補の支持に回る有力者もいる。

 トランプ氏の支持者として知られたペイパル共同創業者のピーター・ティール氏の場合、7月にオハイオ州クリーブランドで開かれた共和党全国大会でトランプ氏の候補指名受け入れ演説の直前に演壇に立ったにもかかわらず、現時点でトランプ候補への寄付や資金集め運動の予定はない。

 オラクル共同創業者のラリー・エリソン氏も、予備選ではマルコ・ルビオ候補に500万ドルを寄付し、2012年の大統領選では共和党候補ミット・ロムニー氏の政治資金団体(スーパーPAC)に300万ドルを寄付したが、トランプ氏に私財を投じる気配はない。

 トランプ氏に対する業界幹部の不満は、業界へ働き掛け不足にとどまらない。トランプ氏が経済におけるハイテク業界の役割を語るのはまれで、業界の利益に直結する貿易や移民問題でもその発言が物議を醸している。

 これまでに共和、民主の大統領候補がハイテク業界を含む通信・電子機器分野から集めた選挙資金を比べると、トランプ氏の33万6000ドルに対してクリントン氏は3000万ドルに上っている。