Tuesday, August 07, 2018 10:32 AM

ネスレ、供給網管理にブロックチェーン導入

 スイスの食品大手ネスレ(Nestle)は、離乳食ブランド「ガーバー(Gerber)」の一部製品を対象に、原材料の果物や野菜をブロックチェーン基盤システムで追跡する試験を進めている。

 食品業界では、製品リコールの対策として原材料の世界供給網管理にブロックチェーンを利用する動きが食品業界で進んでおり、ネスレの試験もその1つ。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、ネスレは現在、「フード・トラスト(Food Trust)」と呼ばれるブロックチェーン・システムの開発において、競合するユニリーバ(Unilever)をはじめ、ウォルマート(Walmart)やIBMを含む9社と協力している。1つの記録管理システムを同業や提携企業と共有することで、たとえば細菌汚染といった問題が生じた食品の調査を迅速にし、リコールをより正確かつ低コストで実施できるようにするのが狙いだ。

 フード・トラストは、IBMのブロックチェーン技術を基盤に作られた。食品原材料の収穫や加工、梱包、出荷に関するデータをフード・トラストに保管することで、従来なら日単位または週単位の時間がかかっていた追跡作業を秒単位で実行できるようにする。

 フード・トラストの加盟社は、過去1年にわたって流通網の一部で試験を続けてきた。ウォルマートの場合、マンゴーの供給網で試験しており、農家から食料品店の棚に並ぶまでの動きを把握することを目指している。

 ネスレの離乳食製品の場合、リンゴやかぼちゃなどの原材料ごとに、世界の農家や加工業者との取り引きをフード・トラストで管理する。

 IBMは、基盤のブロックチェーン技術とそのほかのツール群をフード・トラスト加盟社に提供する。供給網に関与する農家その他の関係者は、専用のモバイル・アプリケーションを使ってフード・トラスト・システムにデータを入力する。IBMによると、モバイル・アプリケーションは試作品段階にあり、9月に市場投入される見通しだ。