Monday, August 13, 2018 10:51 AM

選挙関連技術業界、サイバーセキュリティ組織に参加

 2016年の大統領選挙にロシアが介入した疑惑の捜査が進む中、選挙関連技術を手がける各企業は、投票インフラの警備強化を目的に業界団体エレクションズ・インダストリー・スペシャル・インダストリー・グループ(Elections Industry Special Industry Group)を設立する計画を発表した。ITを使ったサイバーセキュリティ情報共有団体ITインフォメーション・シェアリング・アンド・アナリシス・センター(IT-ISAC)に参加して活動する。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、IT-ISACは、インテル、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、BAEシステムズといった企業間の情報共有を支援している非営利団体。新組織には、国内の選挙で使われる投票集計、選挙管理、有権者登録、電子選挙人名簿、結果報告などの技術を提供する企業が参加する予定で、国土安全保障省(DHS)、IT-ISAC加盟企業と外国の提携企業からのリアルタイム脅威指標など、IT-ISACの情報共有インフラへのアクセスを関連業者に提供する。

 現在、選挙技術業界のシステムが直面する技術的脅威の変化をもっと総合的に理解する必要性が叫ばれており、民間業者間の協力強化の1つとしてグループを立ち上げる。

 国土安保省と協力する選挙インフラ部門調整委員会の議長を務めるドミニオン・ボーティング・システムズのケイ・スティムソン副社長(対政府交渉担当)は、IT-ISACへの参加により民間企業間の情報共有機会が高まると見込んでいる。ドミニオンはこれまで、システムや装置の既存または新発見の弱点に関する情報収集で関連業者と協力してきたが「それらの企業がどんな企業かといった情報がなかったためより時間がかかった」といい、業界の仲間やITコミュニティとの緊密な協力は2018年初めに公表された「Spectre(スペクター)」や「Meltdown(メルトダウン)」といったセキュリティ上の弱点に対する迅速な対応に寄与すると見ている。

 国土安保省は17年、選挙制度を重要なインフラであると宣言し、テクノロジー企業と政府機関の大きな議論を促した。選挙インフラが外部からの干渉から守られ、有権者が結果に自信を持てるよう、より広範な取り組みも進められており、連邦議会は3月、投票システムを刷新し安全にするため州に3億8000万ドルを提供する法案を可決した。