Thursday, August 16, 2018 11:03 AM

アラスカ開発、続々解禁 雄大な自然、先住民警鐘

 雄大な大自然が残るアラスカ州で、経済成長を優先するトランプ政権がオバマ前政権下で規制された開発計画を続々と解禁する方針を示し、先住民や自然保護団体が反発を強めている。クマの子の狩猟や野生動物保護区内での石油掘削も認める意向で、北極圏に暮らす先住民は「一度失った自然は二度と戻らない」と警鐘を鳴らす。

 「先住民の知恵を無視するな」。トナカイ猟やサケ漁を主体とする先住民グウィッチンからの反発は特に強い。保護区に隣接するアークティック村に住む長老トリンブル・ギルバートさん(83)は「野生動物は適正に捕獲すれば絶滅しないが、石油は将来必ず枯渇する」と指摘する。

 保護区外では油田掘削が進む。石油に依存する州財政を潤す一方で、水や大気の汚染が指摘され、近隣先住民には健康被害の懸念も広がる。保護区はトナカイの繁殖地で、開発が進めば絶滅の恐れもあり、生計が立てられなくなる。「次世代に伝統の暮らしを引き継ぎたい。目先の金にとらわれる大統領は、国民にとって害悪だ」(共同)