Tuesday, October 30, 2018 10:29 AM

辺野古、年内に土砂投入 国交相、処分効力停止

 石井啓一国土交通相は30日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への移設を巡り、県による埋め立て承認撤回処分の効力を一時停止すると決定した。政府は年内に土砂投入に着手し、準備として来月1日にも関連工事に踏み切る方針だ。玉城デニー知事は「公平性、中立性を欠く判断で強い憤りを禁じ得ない」と反発。決定を不服として総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る構えで、法廷闘争に発展する可能性が強まった。

 国交相の決定書は今月31日にも工事主体の沖縄防衛局に到着。岩屋毅防衛相は記者会見で「普天間飛行場の一日も早い全面返還のため、工事をできるだけ速やかに再開したい」と述べた。同局は立ち入り禁止海域を示す海上のフロート(浮具)の設置や資機材の再搬入などから始める段取りを想定。県が係争委に審査を申し出ても再開できる。

 安倍晋三首相は衆院本会議で、効力停止について「法治国家として法律に基づき、必要な法的手続きが行われた」と強調。同じ国の機関である沖縄防衛局の申し立てを国交相が認めたことへの批判に「制度の乱用との指摘は当たらない」と反論した。石井氏は会見で、効力停止を決めた理由に関し「日米の同盟関係に悪影響を及ぼしかねない」と説明した。(共同)