Tuesday, November 27, 2018 9:50 AM

私的損失17億円付け替えか ゴーン前会長、監視委把握

 有価証券報告書に報酬を少なく記載したとして、金融商品取引法違反の疑いで逮捕された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が2008年、私的な投資による損失約17億円を日産に付け替えた疑いがあることが27日、関係者への取材で分かった。証券取引等監視委員会も当時、取引に関わった銀行への定期検査で把握。会社法違反(特別背任)などに当たる可能性があると銀行に指摘したもようだ。

 ゴーン容疑者が退任後に受け取ることにしていた年約10億円の役員報酬について、東京地検特捜部の調べに不記載を認めた上で「支払いは確定しておらず、記載する必要はない」と違法性を否定していることも判明。有価証券報告書の記載内容は側近の前代表取締役グレゴリー・ケリー容疑者(62)に任せ、指示通り合法に処理したと聞いていたとも供述している。

 退任後の報酬受け取りは、1億円以上の役員報酬を個別に開示するよう上場企業に義務付ける制度が始まった直後に計画。特捜部は、顧問やコンサルタントなど、報酬の開示義務がない立場で残りの報酬を受け取ることで、株主や投資家からの批判をかわす狙いがあったとみている。(共同)