Wednesday, August 31, 2016 10:14 AM

米通商戦略が行き詰まり 欧州も選挙控え内向きに

 オバマ政権の通商戦略の行き詰まりが鮮明になってきた。環太平洋連携協定(TPP)発効に不可欠な議会承認のめどは立たず、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉は停滞感が隠せない。大統領選が11月に迫った米国だけでなく、ドイツやフランスが来年に重要な選挙を控え、内向きになりつつあることも影響しているようだ。

 フランスのフェクル貿易担当相は8月30日、「米国は主張を譲らず、同盟国間の交渉の在り方ではない」と述べ、米国とのFTA交渉はいったん停止すべきだとの考えを表明した。ドイツのガブリエル副首相も「交渉は事実上の失敗だ」との認識を示している。

 これに対し、アーネスト米大統領報道官は8月30日の記者会見で「年内の交渉妥結を目指す立場は変わらない」と強調。フロマン米通商代表が9月中にも欧州を訪問し、交渉を続けると説明したが、オバマ大統領が来年1月に退任する前の妥結は極めて厳しい情勢だ。(共同)