Thursday, September 15, 2016 10:02 AM

制裁解除で民主化後押し オバマ氏、政治的遺産に

 米政府が14日、対ミャンマー経済制裁の解除に踏み切る方針を表明したのは、新政権発足後も軍の権限が温存されるなど道半ばの民主化と経済成長を後押しする狙いがある。残り任期約4カ月のオバマ大統領はミャンマーの改革進展をアジア重視戦略の成功例と位置付け、「レガシー(政治的遺産)」としたい考えだ。

 ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相と並んで記者団の前に現れたオバマ氏は「顕著な変化が生じている」と称賛。スー・チー氏も笑顔で「全ての制裁が解除される時だ」と応じた。米側の制裁リストに名を連ねる政商らは経済の実権を握っており、ミャンマー側からは経済成長のため制裁解除を求める声が出ていた。

 だが、ミャンマーでは上下両院の4分の1を軍人議員が占めるなど軍が権益を維持。イスラム教徒少数民族ロヒンギャへの迫害や、少数民族武装勢力との内戦も続き、米議会を中心に「時期尚早」と懐疑的な見方が強い。オバマ氏もスー・チー氏との会談で、改革の取り組みは「完了にはほど遠い」と本音を吐露し、民主化の努力継続を強く要請した。(共同)