Monday, September 19, 2016 10:10 AM

太陽光発電の保険数理モデルで事業を評価〜kWhアナリティクスの試み

 新興企業のkWhアナリティクス(kWh Analytics)は、太陽光発電開発事業のデータを収集して独自のプラットフォームに統合し、独自のリスク管理ソフトウェアで分析する事業によって、太陽光発電の開発コストを削減できる資金調達技術を開発し、関心を集めている。

 同社が先日、500万ドルのベンチャー・キャピタルを集めたことは、それを示唆するものだ。

 グリーンテック・メディアによると、同社は、7万ヵ所以上の太陽光発電施設開発事業から取得したデータを解析してデータベース化し、それを土台にして保険数理モデルを構築し、大小さまざまの規模の開発事業のリスクを保険会社が査定できるようにした。

 今回の資金調達は、金融および財務技術を手がける新興企業をおもな投資先とするアンセミス・グループ(Anthemis Group)と、フランスの大手電力会社エンジーのベンチャー・キャピタル投資事業会社エンジー・ニュー・ベンチャーズ(Engie New Ventures)が主導した。ほかに保険会社2社も出資したが、それらの社名は明らかにされていない。

 kWhアナリティクスの事業モデルは、住宅融資業者向けビジネス・インテリジェンス・サービス会社のコアロジック(CoreLogic)や、信用調査サービス会社のエクスペリアン(Experian)に似ている。独立した第三者機関として太陽光発電施設の開発事業を評価し、それを通じて資本コストを下げるのが狙いだ。

 ソーラーシティーといった大手のパネル設置業者では、設置後の一定の発電パフォーマンスを保証している。しかし、規模の小さな会社は同様の保証を提供できない。また、第三者の保証機能を採用する会社は存在しない。

 kWhアナリティクスの設立者兼最高経営責任者リチャード・マツイ氏は自社の事業について、住宅であれ商業であれ、不確定要素のもっとも多い分散型太陽光発電開発事業で最大の価値を発揮する、と説明している。また、電力会社が手がけるような大規模事業の資金調達にも活用できるという。

 米エネルギー省が進める「オレンジ・ボタン」制度が広まれば、開発事業のデータをさらに入手しやすくなり、kWhアナリティクスの製品も精度が高まる見込みだ。

 KWhアナリティクス以前にも、保険会社向けの保証を太陽光発電業界にもたらそうとした企業はあった。保険会社のアシュラント(Assurant)が数年前に同様の製品を投入した。しかし、マツイ氏によると、アシュラントのモデルは、規模を拡大するためのデータを欠いていたという。

http://www.greentechmedia.com/articles/read/kwh-analytics-raises-5m