Friday, March 06, 2020 10:09 AM

日本経済の長期停滞不可避 移動制限や国内回帰に困惑

 中国が発端の新型コロナウイルスの感染拡大の影響が国内製造業や小売り、運輸など多業種に広がり、日本経済の長期停滞が避けられない見通しだ。自動車大手など製造業は部品供給不足による生産混乱への懸念が高まる。安倍政権から生産の中国依存転換と国内回帰を促されたことに困惑も広がる。中国、韓国からの入国時の移動制限も強まり、6日の東京株式市場の平均株価が大幅に値下がりし、金融市場で不安定な動きが続いた。麻生太郎金融担当相は企業への積極的な資金繰り支援を金融機関に要請した。

 自動車部品の中国からの供給遅れが響き、日産自動車やホンダは複数の国内工場で生産調整に追い込まれた。他のメーカーも「影響を回避するために常に状況を注視している」(関係者)とし、国内生産は綱渡りの状況が続く。中国ではさらに生産や販売への影響が深刻で、2月の中国での新車販売台数はトヨタ自動車が前年同月比で70%減だったのに続き、6日発表のホンダが85%減、マツダも79%減となった。

 安倍晋三首相は5日の未来投資会議でサプライチェーン(部品の調達・供給網)の寸断リスクに対応するため、拠点の国内回帰や東南アジアへの移転を検討すべきだと指摘した。ただ、中国には部品メーカーが集積し、精密な製品などでも存在感を高めている。(共同)