Monday, March 16, 2020 9:49 AM

障害者ら45人殺傷に死刑 植松被告の責任能力認定

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った事件の裁判員裁判で、横浜地裁は16日、「19人もの人命が奪われ、結果は他の事件と比較できないほど甚だしく重大。計画的かつ強烈な殺意に貫かれた犯行だ」として、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(30)に求刑通り死刑判決を言い渡した。

 判決理由で青沼潔裁判長は、動機について「被告は園での勤務経験などから『意思疎通ができない重度障害者は周囲を不幸にする不要な存在』との考えが生じた」と指摘。「自分が殺害すれば不幸が減り、障害者が不要であるという自分の考えに賛同が得られ、先駆者になれると考えた」とした。その上で「到底是認できる内容ではないが、実体験を踏まえた発想として了解可能で、病的な思考によるものではない」などとして、争点の刑事責任能力はあったと認定した。

 弁護側は公判で、大麻による精神障害で心神喪失状態だったとして無罪を主張し、大麻による高揚感が引き起こしたと訴えた。しかし判決は「妄想があったとしても程度は軽く、大麻や何らかの精神障害が影響を与えたとは考えられない」と判断。動機に沿って計画通りに行動し、殺害対象を勤務経験や室内の様子から的確に選別していたほか、予定外の事情が起きても柔軟な対応ができていたとして退けた。(共同)