Thursday, March 19, 2020 10:27 AM

武漢の改善、欺瞞と告発 習氏視察で隔離解除

 【北京共同=大熊雄一郎】新型コロナウイルス感染症の被害が最も深刻な中国湖北省武漢市で、10日に行われた習近平国家主席による視察に合わせ、症状の残る多数の患者が隔離を急きょ解除され、一部の感染検査も停止されたことが19日、分かった。隔離施設の医師が共同通信の取材に、武漢市の状況改善は欺瞞だと告発した。

 医師は、習氏への配慮から対策成功アピールのため治療中の患者数を意図的に減らしていると指摘した。中国で現場の医師がこうした告発を行うのは異例。中国政府は武漢で18日に新規感染者が0人になったと発表したが、医師は政府の集計は「信頼できない」と断言した。

 患者が隔離される武漢市の施設で退院の可否を判断する立場にある40代の男性医師が、匿名を条件に書面や通信アプリを通じて取材に応じた。実態が隠されれば、再び大流行が起こる恐れがあると強い懸念を示した。