Tuesday, May 05, 2020 9:44 AM

被ばく、国連報告より低く 福島の1歳児で詳細推計

 東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た福島県7市町村の1歳児の甲状腺被ばく線量は、市町村別で平均1.2〜15ミリシーベルトにとどまるとの研究結果を国際医療福祉大(栃木県)などのチームが5日までに英科学誌電子版に発表した。国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)が2013年に報告した15〜83ミリシーベルトより大幅に低くなった。

 チーム代表の鈴木元・同大教授(放射線疫学)は「50ミリシーベルト以下は健康影響が出ることはほとんどなく、がんのリスクを心配する線量ではない」としている。UNSCEAR報告は住民が屋外で一日中被ばくしたと仮定するなど、精度が不十分な面があったという。

 チームは避難中の行動を聞き取った福島県の問診票を基に、当時1歳だった7市町村の約900人を、11年3月11〜25日の避難日時や経路によって37グループに区分。放射性物質を大量に含む放射性プルーム(雲)の動きや、屋内退避の防護効果などを考慮して被ばく線量を推計した。南相馬市小高区の15ミリシーベルトが最も高く、富岡町の1.2ミリシーベルトが最低だった。(共同)