Tuesday, June 02, 2020 10:32 AM
AI活用でドーピング摘発 膨大な情報解析、効果期待
【ベルリン共同】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がスポーツ界にも大きな影響を及ぼす中、世界反ドーピング機関(WADA)が不正摘発の新たな方法として人工知能(AI)の活用に注目している。来夏に延期された東京五輪・パラリンピックを前に相次ぐ大会中止や検査員の移動制限で検査数も激減。経験豊富な専門家の目さえすり抜ける恐れのある違反の兆候を、あぶり出すことが可能になるかもしれない。
ドーピング検査における血液や尿の分析は、単に禁止物質を発見するためにとどまらない。血液データを蓄積して変化を調べる「生体パスポート」を用いた摘発があるように、赤血球や男性ホルモンのテストステロン値の追跡も含まれる。これらの膨大な情報の追跡や関連付けの側面で、AIが持久力向上効果がある禁止薬物エリスロポエチン(EPO)の検出などの大きな助けになることが期待されている。
AIが導き出した判断のみで資格停止処分が科されることはないが、疑わしい選手には「警告」を出して検査を確実に受けさせることになる。AP通信によると、WADAはカナダで進む三つのプロジェクトに計42万5000ドル(約4590万円)、ドイツでの研究に6万ドル(約648万円)の資金を拠出。四つのプロジェクトの中で興味深いのは、モントリオールで研究が進む「グローバル」と呼ばれるプロジェクトだ。選手の居住地、練習場所などを含む広範なデータを基にした情報を分析することで、ドーピングのリスクを予測できるという。