Thursday, June 11, 2020 10:39 AM

マウスの人工冬眠に成功 脳内を刺激、人間でも?

 筑波大と理化学研究所の研究チームは、本来は冬眠しないマウスやラットの脳にある「休眠誘導神経(Q神経)」と名付けた細胞を刺激して冬眠に近い状態を作り出すことができたと、11日付の英科学誌ネイチャー(電子版)で発表した。Q神経は人間にも存在する可能性が高く、将来的に実用化されれば、延命措置や臓器保存といった医療、有人宇宙探査への応用も期待できそうだ。

 冬眠する哺乳類としてクマなどが知られているが、実験動物の大半を占める小型のマウスや大型のラットは冬眠しないため研究が遅れていた。研究チームの桜井武・筑波大教授(神経科学)は「人工冬眠の研究が大きく前進する」と話している。

 代謝や体温が低下する休眠が長く続くのが冬眠で、数カ月に及ぶこともある。冬眠する哺乳類は食料の不足する寒い時期をしのぐため“省エネ状態”を保ち、栄養が乏しい環境を生き抜くが、メカニズムはよく分かっていなかった。(共同)