Thursday, October 06, 2016 9:57 AM

有田焼制作図柄の色絵大皿 米国で発見、古里・佐賀へ

 江戸後期ごろの焼き物制作の様子を図柄にした有田焼の色絵大皿が米国で見つかり、古里の佐賀に戻った。手作業の工程を正確に描写し、設備が近代化する前の窯の様子が分かる。九州陶磁文化館(佐賀県有田町)の鈴田由紀夫館長(64)は「史料的価値があり貴重」と指摘、詳しい制作年代や米国に渡った経緯を調べている。

 大皿は直径61センチ。44の人物が多彩な色で緻密に表現されている。土をこねてろくろで成形したり、窯焼きして筆で絵付けしたりする職人。焼き物のほこりをはたきで払う女性やまきを運ぶ馬の手綱を引く男性、犬と戯れる子どもも登場する。

 表面の隅には有田焼の発祥を説明した漢文、裏面には「酒井田柿右衛門製」の文字と唐草文様が施されている。鈴田館長によると、描かれた花瓶の形が江戸後期の輸出品に似ており、男がまげを結っていることなどから、江戸後期ー幕末ごろの作品とみられる。郷土史の記述からパリ万博(1867年)に出展された可能性もあるという。(共同)