Monday, November 02, 2020 9:19 AM

「市民の思いで残された」 ふね遺産、福竜丸内部公開

 1954年に米国が太平洋・ビキニ環礁で実施した水爆実験で被ばくした静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の内部が2日、共同通信に公開された。終戦直後の建造で現存する木造船は貴重とされ、今年7月、日本船舶海洋工学会の「ふね遺産」に認定。保管する第五福竜丸展示館(東京都江東区)の安田和也主任学芸員は「原水爆被害を繰り返してはいけないという市民の思いで残されてきた」と話した。

 一般の入館者が見学できる甲板から、通常は非公開の船室に階段で下りると、マグロを保管していた「魚倉」が現れた。広さは約60平方メートルで窓はなく、天井は低い。ふね遺産では骨組みの構造が評価され、「肋骨」と呼ばれる何本ものU字形の木材が船を支えている。魚槽からも、建造時から残る黒ずんだ肋骨の一部が見えた。

 第五福竜丸は47年に和歌山県でカツオ漁船として造られ、その後、遠洋漁業用のマグロ漁船になった。長さ26.67メートル、幅5.76メートル、重さ140トン。一部は改修されているが、骨組みや大きさ、外観はそのままだ。ビキニ事件後、東京水産大(現東京海洋大)の練習船として改造。67年に廃船になり、東京・夢の島の周囲の海に捨てられた。市民の保存運動によって、76年に夢の島で開館した展示館に収容された。(共同)