Tuesday, March 02, 2021 9:15 AM

3D印刷で家建ててみた〜NY企業、約1週間で完成

 ほとんどの家はブロックまたはれんがを1個ずつ積み上げて造られるが、ニューヨーク州カルバートンでこのほど公開された展示住宅は、巨大な3Dプリンターを使って1層ずつスキャンを重ねて造られている。

 ロイター通信によると、この住宅を手掛けたのは同州拠点のSQ4D(エスキューフォーディー)という建設会社。先端技術で何ができるかを消費者と業界に披露するために建てた。

 SQ4Dのオペレーション担当ディレクター、カーク・アンダーセン氏は「われわれは機械(3Dプリンター)に対し、一層一層設計図に従って敷地内を動き回るよう指示を与える。家は徐々に積み上がっていく」と説明する。同氏とその同僚は、実寸の家を建てるという夢を実現するため独自の3Dプリンターを設計し、製造した。「プラスチックで立体を作るデスクトップの3Dプリンターから発想を得て、それをさらに大きくしてコンクリートを噴射させたいと思った」

 印刷を始めるときは、出来上がる構造物の両端部分にレールを敷き、その上に巨大なガントリー(門型クレーン)を設置する。横に渡した梁(はり)に沿って大型プリンターが左右に移動しながらコンクリートを噴射し、1層ずつ積み重ねながら壁を造っていく。1軒分の壁を印刷するのにかかる時間は48時間。家全体を完成させるには8日かかるという。

 アンダーセン氏によると、この方法は人がブロックを手で積み上げる標準的な方法で家を建てるより格段に早く、費用も30%安くなる。

 同社は現在、近隣のリバーヘッドにこれから立体印刷する1軒を売りに出しており、その家は不動産ウェブサイトのZillowに価格29万9000ドルで掲載されている。敷地面積は1400平方フィート。別棟にガレージが付き、フーチン(基礎工)、基礎、スラブ(コンクリートの構造床)も壁と同様にすべて3Dプリンターで造られる。

 ただしこの工法に対する建設業界の反応はまちまちで、特に年配の関係者には懐疑的な声が多いという。「建設の形を変えるこの方法に、人々は心の準備ができていないだけだと思う。まだ始まったばかりで、今はまさに上辺をなでているだけに過ぎない」とアンダーセン氏は話している。