Monday, October 17, 2016 10:33 AM

コンテナ輸送、ほぼゼロ成長〜リーマンショック後最悪の年か

 海運業界のコンテナ輸送量が今年はまったく伸びておらず、リーマン・ショックで世界に経済危機が広がった2009年以降で最悪となる見通しが強まっている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、9月下旬のアジア発欧州向け海上コンテナ輸送料は767ドルとなった。業界では「1400ドル以下ではやって行けない」と言われるが、今年はほぼ一貫して1000ドルを下回っている。10月も上旬には中国で連休となり、工場の多くは生産規模を落として閑散期に入っているため、近く状況が好転する兆しはない。

 ロンドンを拠点とするブレーマーACMシップブローキングのアナリストは「需要はほぼゼロで、貨物料金を引き上げるためのどんな動きも失敗する可能性が高い」と見ている。現在コンテナ輸送の許容量は需要を30%も上回っており、貨物料金は燃料費を賄えるかどうかという水準のため、生き残りに苦慮している業者が多い。

 問題の主因は中国の成長鈍化と考えられ、世界最大の輸出国である中国の経済成長率はかつて2桁台だったが、重工業や建設業からサービスや消費への成長モデルの移行に伴い減速し、16年4〜6月期は6.7%にとどまっている。最大の輸出先である米国とユーロ圏の経済成長率は各1.2%と0.3%。

 世界的な成長の鈍化は業界に甚大な影響を与え、業者は多大な損失を出しており、需要が回復しなければ、経営破綻か大手に飲み込まれるしか選択肢がなくなってくる。最大手のマースク・ラインを含めコンテナ海運大手20社のほとんどは第2四半期に多額の損失を計上しており、通年の業界損失は80〜100億ドルに上ると予想されている。