Thursday, June 03, 2021 3:41 AM

各社のCIOら、パンデミックで技術戦略を再編かつ加速

 新型コロナウイルス・パンデミックによって、多くの会社では過去1年近くのあいだ、遠隔労働や業務および事業のデジタル化を一気に加速させた。各社の最高情報責任者(CIO)らは会社経営や事業運営に必要な事項の優先順位を入れ替え、従業員たちの燃え尽きを防ぐためにさまざまの境界線の引き直しにも取り組んできた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、多くのCIOは、分散して働く従業員の支援だけでなく、コーヴィッド19の拡大によって変化した需要に対応するために業務デジタル化を大規模に推進した。コンサルティング会社マッキンゼーが2020年7月に実施した企業幹部対象の国際調査では、コーヴィッド19が会社のデジタル活動の3〜4年分を早めさせたという結果が出た。

 小売店チェーン大手ターゲットでは、本社勤務の従業員らを2020年3月に完全遠隔労働に移行させ、同社の技術班はそれにともなって、従業員約1万5000人の自宅勤務を円滑にするための環境を整備した。

 その結果、同社のオンライン販売部門では、2020年4月の売上高が前年同月比で282%も増加した。3月には、商品の安全な購入や移動、販売につながらなかった規則の導入や技術変更を一時凍結した。

 ユナイテッド航空の場合、何がもっとも重要かを判断するために、取り組んでいた全プロジェクトを3月にいったん停止した。リンダ・ジョジョCIOは、「時間のかかる決裁や、優先事項の検討は過去のものになった」「必要性が明確でない場合には実行せず、必要な場合には迅速に行う必要があった」と話す。

 たとえば、乗客がディスプレイに触れることなく携帯電話の画面上の搭乗券をスキャンして荷物タグを印刷できる「タッチレス・キオスク」は、発案から試作システムの製作まで1ヵ月未満で実現した。同キオスクは5月に導入開始され、現在、300以上の空港に置かれている。

 フロリダ州拠点のソフトウェア会社シトリックス・システムズ(Citrix Systems)のミーラ・ラジャベルCIOは、従業員が燃え尽きないように、仕事と私生活の均衡を保てるようにするために、「数時間オフラインになっても問題ないことを周知させた」と話した。

 法人向けクラウド電算サービスのサービスナウ(ServiceNow、カリフォルニア州拠点)は、会議のない時間や動画なしの会議、従業員たちが一緒にストレスを解消できるオンライン交流催事を実施し、精神的負担を軽減する措置を実施している。

 知的財産管理ソフトウェアとサービスのアナクア(Anaqua、マサチューセッツ州拠点)は、社員が休暇を取ってコンピュータから離れて過ごすことを奨励している。