Tuesday, September 14, 2021 10:18 AM

独デュル、メキシコにフォード向けハイテク塗装工場建設

 ドイツの機械製造大手デュル(Durr)は、メキシコのソノラ州エルモシーヨに高度に自動化されたフォード向けのハイテク塗装工場を建設した。

 グリーンカー・コングレスによると、新しい塗装工場は既存のプレスおよび組立工場に隣接し、地域の気候条件を巧みに利用しつつ、最新のテクノロジーやデジタルソリューションで質の高い塗装を目指している。

 工場には、低粘度および高粘度の材料供給システム、ロボットによる塗料およびシーラー塗布装置、その他の工程自動化技術が導入されている。フォードは、2つのスリーウェット(3層の塗膜)用塗装ブースのほか、マスキングによるツートン塗装専用のブースを使っており、ツートン塗装を個別に行うことで柔軟性が生まれ、従来の塗装ラインで最高の効率を確保している。

 塗装ブースでは、デュルの塗装ロボット「EcoRP E033i」が外装コーティングのプライマー、ベース、クリアコートをすべて自動で行い、約2.5メートルの内部カーゴエリアはスイングアームロボット「EcoRP S153i」がベースコーティングを行う。これらのロボットは商用車の塗装用に特別設計されており、移動性の高いスイングアームによって、数メートル離れた表面や、内部の手の届きにくい場所にも簡単に到達できる。

 フォードは2つの3ウェットトップコート塗装ブースで、クリーニングやメンテナンスが簡単なウェットスクラバー技術「EcoEnvirojet」を選択した。ツートン塗装ブースには、水や化学薬品を使わずに塗料を分離できる半自動の「EcoDry X」オーバースプレー乾式分離技術が使われている。フィルタートロリーは、交換が簡単な使い捨て段ボールフィルターを備え、生産中でも迅速に交換が可能。

 エルモシーヨは1年のうちほとんどが高温で乾燥しているため、電着塗装(eコート)、シーリング、ツートン塗装、およびトップコートができる加熱乾燥機「Durr Ecopaint」を屋外に複数設置し、高い気温を利用して効率良く加熱を行う。同乾燥機には最も効率的で費用対効果の高い空気浄化の方法として、揮発性有機化合物(VOC)の除去システムであるデュルの回復型熱酸化装置「Oxi.X TR」が搭載されている。

 乾燥機はそれぞれUターンレイアウトとして設計されており、車体は建物を出て乾燥機を通過し、屋内に戻る。