Monday, September 20, 2021 10:17 AM

労働者の高齢化がロボット導入の大きな要因に

 世界的に労働者の高齢化が急速に進行している地域ほど、産業へのロボット導入が進んでいることが、米国の大学研究者2人の調査で分かった。

 ロイター通信によると、共同調査を行なったのはボストン大学のパスクアル・レストレポ助教授(経済学)とマサチューセッツ工科大学の経済学者ダロン・アシモグル氏。60カ国の人口統計および産業データを調べたところ、労働力の高齢化(21〜55歳の労働者と56歳以上の労働者の比率で判断)とロボットの利用には強い関連性が見られたという。

 ロボットの導入に関する国ごとの違いは、理由の35%を年齢が占め、高齢労働者が多い国ほど機械を導入する可能性が大幅に高くなる。この考察は、労働力の高齢化が急速に進む韓国やドイツなどは世界で最も速くロボットを導入している(労働者1人当たりのロボットの配置数が多い)という長年の傾向にも合致する。

 アシモグル氏によると、米国はソフトウェアや人工知能(AI)などさまざまな分野で技術的に極めて優位にあるが、ロボットに関してはドイツ、日本、最近では韓国の方がかなり進んでおり、世界のロボット企業の上位15社のうち7社は日本、7社はドイツにある。

 こうした傾向は米国内でも見られ、労働力の高齢化が進む都市圏では1990年以降にロボットが大規模に導入されていることも分かった。国内の都市圏700カ所を対象にロボット・インテグレーター(産業用ロボットの設置と維持を専門とする企業)の数を調べたところ、地域の人口高齢化が10ポイント進むごとにインテグレーターの数が6.45ポイント増えるという。