Wednesday, October 06, 2021 9:27 AM

EV電池不足は25年まで続く〜米国内、SK幹部が予想

 フォードとの合弁で電気自動車(EV)用バッテリーを製造する韓国SKイノベーションの経営幹部らは、米自動車業界のバッテリー供給不足は2025年まで続くとの見方を示した。新しい生産施設の建設には長い時間がかかるためだという。

 ロイター通信によると、バイデン政権はEVの生産を増やし、外国産のEV用電池や電池部品、材料への依存軽減を目指しているが、SKイノベーションのキム・ジュンCEOは「現在の米国の電池需要を満たせるだけの工場を建設するには30カ月のリードタイムが必要で、少なくとも25年までは電池不足が続く」と述べた。これには工場の場所選定、建設、製品試験のための時間が含まれる。

 対照的に中国では電池の供給過剰が予想され、欧州の供給は需要に対応した水準になると、キム氏は予想した。

 フォードは、10月1日付けでSKイノベーションから分社した電池事業SKオン(SK On)と共同で米国に3つの新しい工場を建設し、25年に生産を開始する計画を進めている。出資額は各社44億5000万ドル。3カ所合わせて国内最大の電池生産施設となるが、SKは現在、受注残が2700万台分に相当する1600ギガワット時(GWh)に上っている。

 キムCEOは「量産経験のある電池メーカーと提携せずに独力で電池生産を目指す自動車メーカーが成功する可能性はわずか。電池生産はそれほど単純ではなく、多くの試行錯誤を要する」と述べた。

 SKは、低価格モデルなど特定用途向けEV用にリン酸鉄リチウム(LFP)電池の開発も検討しており、自動車メーカー1社が関心を持っているという(SKオンのジー・ドンソブCEO)。LFPは、航続距離は短いがコストと熱安定性に優れ、中国の電池メーカーの間では主力技術となっている。フォードと独フォルクスワーゲン(VW)は、テスラに続いてこの技術の導入を目指している。

 SKとフォードの合弁会社は、高ニッケル系のパウチ(小袋)型電池を生産する計画。