Monday, January 31, 2022 9:28 AM

テスラ、ニッケルを国内調達へ〜タロン・メタルズと契約

 テスラは米国内で初めて、ニッケル供給に関する契約を探鉱・鉱山開発の英タロン・メタルズと交わした。ミネソタ州にあるタロンのタマラック鉱山から、環境に優しい方法で生産されたニッケルをEVの電池向けに調達する。

 今後10年間でEVの普及が進み、ニッケルの需要は高騰すると予想される。ニッケルは電池の正極材としてエネルギー貯蔵を強化し、EVの航続距離を延ばす役割を果たす。

 ロイター通信によると、テスラのイーロン・マスクCEOは2020年、ニッケルを「環境に配慮した方法」で生産するよう鉱業界に訴えた。米国のニッケル生産の状況についても「客観的に見てかなり不十分だ」と非難した。

 タロン・メタルズのミネソタ事業は英豪リオ・ティントとの合弁で、26年までに創業を開始する予定。ここからニッケルを調達することで、テスラはテキサス州とネバダ州の電池工場向けのニッケル供給を確保できるほか、既存の材料供給網を簡素化できる。テスラは20年、英豪BHPとニューカレドニアからニッケルを調達する契約を結んでいる。

 世界最大のニッケル産地はインドネシアだが、同地の鉱山業者は大量の電力を必要とする採取方法を使っている上、不要になった岩石を川に流すなど廃棄物の処理方法も問題視されている。

 タロン・メタルズは、タマラック鉱山で大気中から二酸化炭素を回収し、鉱山内で出た岩石と化学的に結合して恒久的に貯蔵する技術を導入する。この技術はまだ試験中だが、同社がニッケルをカーボンニュートラルな製品として市場に出すことは、テスラにとって大きな魅力になる。