Friday, February 11, 2022 6:23 AM

橋封鎖で物資の空輸も検討〜フォード含む製造業者

 カナダのトラック運転手らによるデモで米カナダ国境の橋が封鎖されている問題で、自動車メーカーや一部の製造業者は、製品を移動するための代替手段として航空輸送に目を向けている。組合関係者や業界幹部が明らかにした。

 ロイター通信によると、カナダ政府のコロナワクチン接種義務化に反対するトラック運転者らの抗議活動は2週間に及んでおり、米国とカナダを結ぶ交通が複数個所で妨げられている。

 カナダ米国間で1年間に取り引きされる6500億カナダドル(約5110億ドル)の商品のうち、3分の2以上が陸路で運ばれている。交通の大動脈が詰まることで、すでに打撃を受けているサプライチェーン(供給網)はさらに大きく揺らいでいる。

 カナダ・オンタリオ州ウィンザーにあるフォードのエンジン工場の労組関係者は10日、フォードが同工場向けの部品の一部の空輸を検討していると述べた。フォードのカナダ部門の広報担当者は、「工場を動かすためにあらゆる選択肢を検討している 」と語った。 

 同州トロント地域の貨物空輸業者パッカー・エア・フレイトの幹部は、同州と米ミシガン州デトロイトを結ぶ交通の要衝アンバサダー・ブリッジで続く抗議活動の影響で、いくつかの自動車部品会社や製薬会社から空輸の依頼を受けていると話した。

 カナダ製造・輸出業者協会(CME)の貿易政策担当ディレクター、マット・ポワリエ氏は、一部の企業は代替ルートを検討しているが、ほかの場所も渋滞や抗議デモで通れないことがあり、かえってコストが上昇していると述べた。「製造業者にとって複雑なのは、トラックを目的地に到着させる方法を考えなければならないだけでなく、国境を越えて物を動かすすべての事務処理も変わってしまうことだ」「管理上、悪夢としか言いようがない」

 カナダ最大の民間労組ユニフォーで自動車部門を担当するディノ・キオド氏は、抗議デモ参加者に疑問を投げかけている。「より多くの自由を求めて抗議しているはずのグループが、どうして職場の閉鎖につながるようなことをするのか」「現実には彼らが私たちを閉鎖に追い込んでいる」