Monday, February 14, 2022 8:15 AM

橋封鎖で自動車サプライチェーンの弱さ浮き彫りに

 米カナダ国境で1週間以上続いたカナダ政府への抗議デモによる橋の封鎖は、北米の自動車サプライチェーンの弱さを浮き彫りにした。業界専門家は、より多くの部品を現地調達する必要があるとあらためて強調している。

 オートモーティブ・ニュースによると、サプライヤー・コンサルタント会社ハーバー・リザルツのロウリー・ハーバーCEOは「何年も前から言っていることだ。部品は車を造るところで買えと」「現地調達しないのなら、それに伴うリスクを理解する必要がある」と話した。

 カナダのトラック運転手や活動家は1月末、政府による新型コロナウイルスワクチンの接種義務化に反対してデモを開始した。2月7日からは、オンタリオ州ウィンザーと米ミシガン州デトロイトを結ぶアンバサダー・ブリッジで大型車両を使って交通を封鎖した。米カナダ間で1年間に取り引きされる商品の3分の2以上が陸路で運ばれ、4分の1以上がこの橋を通過するという。

 抗議デモは、すでに打撃を受けている北米の業界全体に生産の不安を呼び起こし、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード、ステランティス、トヨタ、ホンダおよび各社のサプライヤーは国境の両側で生産調整に追われた。

 橋の通行量が大幅に減少したため、組み立て工場やサプライヤーの工場で休止や減産が相次いだ。ウィンザーやオンタリオ州トロント地域の工場で米国の工場からジャストインタイムで納入される部品が間に合わなくなるなど、最初の影響は多くがカナダ側で発生した。

 ミシガン州アナーバーにある自動車研究センターのカーラ・ベイロCEOは、「米国のジャストインタイム部品は、国内よりもカナダに流れていることが多い」と話す。

 しかし、橋の封鎖が続くにつれ米国内への影響が広がり、10日にはトヨタがケンタッキー州の組立工場を休止するなど問題はデトロイト地区をはるかに越えた。