Tuesday, May 10, 2022 3:05 AM

ESG目標達成にはデジタル技術が欠かせない

 ESG(environmental, social, and governance=環境、社会責任、企業統治)に関する取り組みが重視されるにつれ、デジタル変革の重要性がますます高まっている、と工業分野のデジタル変革関連技術を提供するアヴェイヴァ(AVEVA)のハープリート・グラーティ上席副社長はCIO誌への寄稿記事のなかで論じた。

▽軌道修正や要件厳格化、規則遵守の流れ

 グラーティ氏によると、2050年までに炭素排出をネット・ゼロにするという目標は、いまやほとんどの会社がかかげる目標になっており、ESG関連の情報開示も、一定規模の会社に対しては、あたり前に期待されている。

 そういった新たな事業環境動向において、石油&ガスや鉱業&金属、電力、化学といった業界では、現行の事業を継続しながらも、代替となる持続可能事業を構築する必要性に迫られている。

 また、ESGと持続可能性に関する要件や規則の厳格化にくわえて、社会(投資業界、消費者、取り引き相手)からの監視の目も厳しくなっていることから、事業を続けるうえでデジタル技術がきわめて重要な役割りを果たす、とグラーティ氏は述べている。特に下記三つの対応策や手法において、デジタル技術がESGの取り組みに役立つ、と同氏は強調する。

1.環境配慮体制への移行にはデータの収集と分析が必要

 人工知能を基盤とした各種のシステムによって年中無休で集まってくるデータを分析し、それにもとづいて意思決定することで、環境配慮を含めた事業改革の速度を高めることができる。

 変化する事業環境に適切に対応するには、変革と意思決定をすばやく下して実行することが必須だ。そのためにはデータの収集と分析は欠かせない。また、既存の事業資産の近代化や、環境にやさしい新しい資産の導入を支えるだけでなく、規則遵守のための情報開示にも役立つ。

2.供給網の合理化がESGの取り組み強化に寄与

 供給網の状況がいかに短期に大きく変化し得るかは、新型コロナウイルス・パンデミックが始まった2020年3月中旬以来、世界の消費経済と産業界が証明してきた。

 統一的なプラットフォームでデータを確実に活用すれば、そういった事態への対応を強化しながら、循環経済を考えた意思決定を下しやすくなる。供給網は、循環経済の一部を構成する要素であり、その部分を合理化することは、ESGと持続可能性への取り組み拡充につながる。

3.問題発生時にデジタル技術で対応し打撃を緩和

 労働力の生産性に大きく影響する事態が起こった際に、人工知能やクラウド電算をはじめ最新のデジタル技術を活用していることが影響を和らげるための緩衝材となる。

 従業員や提携先、取り引き先が世界のどこにいても業務を通常通りに遂行できる体制を整備できていれば、出張をはじめ、資材使用や事業資源の消費を最小限に抑えられ、環境配慮に寄与できる。

 わかりやすい例では、仮想協業に消極的だった会社や団体、組織は、パンデミック後に動画会議やオンライン協業に移行するのに苦労を強いられたが、そういったソリューション群を日ごろから使っていた職場では何ごともなかったかのように遠隔労働に移行した。

https://www.cio.com/article/304159/how-digital-technology-facilitates-compliance-with-esg-targets.html