Tuesday, May 17, 2022 3:56 AM

セールスフォース、中絶する従業員の転居費を支援

 セールスフォース(Salesforce)は、妊娠中絶に関する歴史的かつ象徴的な訴訟の「ロウ対ウェイド(Roe v. Wade)」を見直すことになる連邦最高裁の予想される判決に備えて、中絶やそれに準じる医療処置を受けられなくなることを心配する従業員の転居を支援する、と傘下のスラック(Slack)メッセージによって全従業員に5月12日に伝えた。

 「あなたが住む州において、中絶やそのたぐいの重要な医療へのアクセスに懸念がある場合、セールスフォースはわが社の医療サービス機関を通じて、そういった懸念のない州にあなたや肉親が引っ越す際の費用を支援する」と同社のブレント・ハイダー社長兼最高人材資源責任者は従業員に通達した。

 米技術業界大手の一部では、従業員が中絶する場合の旅費を負担する方針をすでに打ち出している。その背景には、連邦最高裁の判決文草稿が先日漏洩したことで、中絶は憲法で保証される基本的人権に含まれるという解釈を明示した1973年の「ロウ対ウェイド」判決を覆す判決がくだされることが判明したといういきさつがある。

 ロウ対ウェイド判決が覆されれば、全米50州のうち26州が中絶を州法によって違法にすると見込まれる。そのため、それらの州で働く従業員たちは、中絶が違法化されない州に行って医療処置を受けることを強いられる。

 シリコン・バレーは一般的に民主党支持であり、したがって女性の中絶選択権を尊重する考えが非常に強い。カリフォルニア州やニューイングランド地方の各州、ワシントン州ではそういった市民の割り合いが高く、州議会も民主党に寄っている。しかし、中西部や南部、内陸部では保守派が多く、それらの地域では共和党に寄っており、したがって、中絶を禁止する場合が多い。

 アマゾンとアップルも、州外に行って中絶する従業員に対しその費用を負担する方針をすでに従業員らに通達している。マイクロソフトも同様の方針だ。

https://www.cnbc.com/2022/05/12/salesforce-will-help-employees-relocate-for-abortion-access.html