Friday, May 27, 2022 7:01 AM

自動車業界で脱パラジウム進む〜代替にプラチナ、ロシアリスクで

 自動車メーカーは、排ガス浄化触媒に使うパラジウムの量を減らし、代わりにプラチナを増やす動きを強めている。ロシア産パラジウムの供給懸念が背景にある。

 ロイター通信によると、業界では以前から、コスト削減を目的にパラジウムからより安いプラチナへの移行が進んでいたが、移行が早まればプラチナ需要が高まって価格が上昇し、パラジウムはその逆になる可能性がある。

 ロシアは世界のパラジウム供給量の約25〜30%を握る一方、プラチナのシェアは約8〜10%となっている。2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、経済制裁によってロシア産貴金属の輸出が制限された形跡はないが、侵攻が長引けばロシア産金属を購入しない企業が増えたり、各国政府が制限を課す可能性もある。

 世界プラチナ投資評議会(WPIC)のトレバー・レイモンド調査責任者は「(パラジウムからプラチナへという)代替の努力は非常に強まっている。自動車メーカーによる節約の影響は非常に大きい上、(パラジウムは)入手可能性への懸念がある」と話す。

 現在、プラチナの価格は1オンス=約950ドルとパラジウムの約半分で、自動車メーカーは年間約250万〜300万オンスのプラチナ、約850万オンスのパラジウムを使用している。

 WPICの最新報告書によると、年間約800万オンスのプラチナ市場は、2021年は113万オンスの供給過多で、22年も62万7000オンスの供給過多となる見込み。22年1〜3月期は需要が前年同期比26%減、供給は13%減で、16万7000オンスの供給過多だった。

 通年では、プラチナ需要は2%増、供給は5%減となる見通しで、自動車業界からの需要は、ライトデューティ車の生産増、排ガス規制強化に伴う1台当たりの使用量の増加、脱パラジウムなどによって16%増と予想されている。