Wednesday, September 07, 2022 6:50 AM

シルクのFMCWライダー、検出距離1キロ超を達成

 統合型シングルチップFMCWライダー(光検知・測距装置)ソリューションの大手シルク・テクノロジーズ(SiLC Technologies、カリフォルニア州)は、同社のライダー「アイオニック・ビジョンセンサー(Eyeonic Vision Sensor)」が、1キロメートル以上離れた物体を知覚、識別、回避する能力を示したと発表した。

 同社のプレスリリースによると、シルクは2022年1月の国際IT家電見本市CESでは、同ライダーの検出範囲を500メートル以上とうたっていた。

 ドローン(無人機)、建設、自動車、計測など、マシンビジョン(機械による視認機能)を利用する多くの分野では、超長距離の照準が必要とされている。具体的な用例としては、高速道路を走行中の車による障害物の回避、飛行中のドローンによる他の航空機の回避、森林の正確なマッピング(デジタル地図生成)と測量による森林破壊防止…などが挙げられる。

 完全な自動運転やその他のマシンビジョン用途では、誤差ミリメートル単位の精度、深度、瞬間速度計測能力を持つ次世代ビジョンセンサーが不可欠で、利用可能な技術の中では周波数変調連続波(FMCW)方式のライダーが最も優れている。

 シルクが21年12月に発表した「アイオニック・ビジョンセンサー」は、FMCWライダートランシーバーで、小さなシリコンフォトニックチップ1個にFMCW式ライダーの機能が組み込まれている。次世代の自動運転車(AV)、セキュリティーシステム、産業用ロボットなどのメーカーにとって、統合が簡単なこのチップは唯一の選択肢であり、数十年にわたるシリコンフォトニクス(微細加工によってシリコン基板上に発光素子や受光器、光変調器などの素子を集積する技術)分野の進歩を象徴している。

 創業者でCEOのメフディ・アスハリ氏は「アイオニック・ビジョンセンサーが提供する非常に詳細で正確な瞬間速度と超長距離情報は、人間の目と脳が一緒に処理するのと同じようにロボットが環境を分類、予測するためのカギだ」と話している。