Tuesday, September 20, 2022 6:57 AM

ループエナジーの燃料電池、ディーゼルより高効率

 カナダの水素燃料電池メーカー、ループ・エナジー(Loop Energy、ブリティッシュコロンビア州バーナビー)は、現在の価格水準でディーゼルエンジンより優れた燃費を実現できる燃料電池システムを開発した。

 ロイター通信によると、9月5日時点の汎欧州ディーゼル価格(1リットル=1.91ドル)および水素を1キログラム(kg)当たり10ドルとして比較すると、同社の新しい水素燃料電池システム「S1200」は100ドル分の燃料で111マイル(179キロ)強走れるが、同等のディーゼル・トラックでは109マイル強にとどまる。

 自動車業界ではゼロエミッションの電気自動車(EV)への移行が進んでいるが、長距離輸送では電池の重量が足かせとなるため、ダイムラー・トラックやボルボといった貨物トラックメーカー大手は燃料電池に多額を投資している。

 燃料電池は、水素と触媒を使って電気と熱を生み、トラックを駆動する小型電池に電力を供給する仕組みで、排出されるのは水だけ。これまではディーゼルエンジンよりも効率が悪く、欧州には燃料となる水素補給の基盤がほとんどないことが普及の課題だった。

 ループ・エナジーのベン・ナイランドCEOによると、同社の新しい電池システムはその課題の一つである効率の問題を本質的に解決する。

 同社はこの燃料電池システムを、新興トラックメーカー向けのほか、大手サプライヤーが大手トラックメーカーに提供する水素パワートレインの一部として提供することを目指している。

 ループ・エナジーの筆頭株主は米国のエンジン大手カミンズで、ループ株式の20%以上を保有している。