Friday, July 07, 2023 6:56 AM

ZF、乗用車用に超小型・軽量の800V電動ドライブ開発

 独自動車部品大手ZFは、超小型・軽量で、寒冷地で電気自動車(EV)の航続距離を伸ばせるよう最適化された乗用車向け800V電圧システム駆動装置を発表した。

 プレスリリースによると、同社は「ポルシェ・タイカン」をベースにしたコンセプトカー「EVbeat」に革新的な電気駆動装置「EVSys800」を搭載し、ドイツで開催されたグローバル・テクノロジー・デイで披露した。

 EVSys800は、トルク密度70N.m/kgのモジュール式800Vドライブで、炭化ケイ素(SiC)パワーエレクトロニクス、電気モーター、減速ギヤボックスで構成されている。モーターの連続出力は206kW、ピーク出力は275kWで、ピーク出力の約75%の連続出力を実現。総重量は74キロで、ZFの最新800Vシリーズ・ドライブと同じ出力で換算すると約40キロ(30%)も軽く、コンセプトカーの軽量化に大きく貢献している。

 さらに、コンパクトな減速ギヤボックスとZFが特許を持つ電気モーターの「編組巻線」技術によって幅を50ミリメートル削減したことで、ドライブアクスル上に設置できるようになり省スペースを実現。冷却は、運転中に最も熱が発生する銅製ロッドの周囲をオイルが直接流れる高効率な設計で、同じ重量と設置スペースで性能を大幅に向上させている。

 また、EVbeatコンセプトカーには、冬季にEVの航続距離を最大3分の1伸ばせるよう開発されたZF初の中央熱管理システム「TherMaS」が組み込まれている。TherMaSは、中央ユニットとインテリジェント・ソフトウェアを使用して、ドライブラインと乗員コンパートメントのすべての熱プロセスを制御する新しい設計で、従来のアプローチに比べEVの冷却と暖房に必要なスペースと重量が大幅に削減されている。

https://press.zf.com/press/ja/releases/release_57601.html