Tuesday, December 16, 2025 6:31 AM

フォード、EVピックアップ生産を終了〜戦略転換に195億ドル費用計上

 フォードは15日、電動ピックアップトラック「F150ライトニング」の生産を開始からわずか3年余りで終了すると発表した。

 オートモーティブ・ニュースによると、ライトニングはフォード経営陣が「現代のモデルT(T型フォード、20世紀初頭の世界初の大量生産車)」と呼ぶほど重要なモデルだったが、すでに10月には材料を納入するアルミニウム大手の工場火災を受けて生産を停止しており、より収益性の高いガソリン車およびハイブリッド版F150に経営資源を振り向けていた。

 フォードは、期待通り伸びなかったEV市場の損失を抑えるため関連計画を大幅に縮小し、米国内の製造体制をHVおよびガソリン車へと集中している。戦略転換によって発生するコストは約195億ドルに上り、大半は25年10〜12月期決算で特別損失として処理する。

 共同通信によると、EVへの投資は縮小する一方、HVなども含んだ電動車の新車販売比率を、現在の17%から30年までに50%へ引き上げる。

 28年の稼働を目指してテネシー州で建設中の巨大工場「ブルーオーバルシティ」では、当初計画していた次世代ライトニングの生産は行わず、代わりにミシガン州で航続距離延長型の電動車を作る予定で、ブルーオーバルシティでは29年から手頃な価格の新しいガソリンエンジントラックを生産する。

 さらに、28年からオハイオ州エイボンレイクで生産する予定だった次世代電動バン計画も中止し、工場では29年から次世代のガソリンおよびハイブリッド・バンを生産する。

 こうした取り組みにより、24年に約50億ドルの損失を出したEV部門モデルeの財務損失は26年中にも縮小が始まり、29年には黒字化すると見込んでいる。