Tuesday, July 30, 2024 7:12 AM

VWの配車事業モイア、車内点検の自動化でAI導入

 フォルクスワーゲン(VW)の配車サービス事業モイア(Moia)は、VWの自動運転車(AV)「ID. BUZZ AD」の車内安全点検に、オーストリアのソフトウェア会社エモーション3D(emotion3D)が開発した車内分析ソフトを使っている。

 オートノマス・ビークル・インターナショナルによると、このソフトウェアは、人工知能(AI)を使って従来ドライバーが受け持っていた安全関連のタスクを代行し、ドア開閉時に障害物がないか、車室の床に邪魔な物がないか、車内の明るさはどうか…などを自動で検知するほか、乗車人数が定員を超えていないか、シートベルトは正しく使われているかも確認する。

 異常がなければ、数秒以内に自動運転システムに運転を指示する。何らかの異常があった場合、必要に応じてフリート管理センターに引き継ぐ。センターは外部から許可を与え、音声接続を介した乗客との通信もできる。

 車内カメラから提供されるデータは、エモーション3DのAIソフトウェア・スタック「キャビン・アイ(Cabin Eye)」で分析され、結果はモイアのソフトウェアに送信される。商用AVの運営者は、タスクの自動化によってフリート管理センターの配車係が担当する車の台数を減らしてコスト削減につなげられる可能性もある。

 エモーション3Dのフロリアン・ザイトナーCEOは「車内点検は見落とされがちだが、自動運転による輸送サービスには欠かせない要素。当社は、車内状況の監視を通してドライバーの二次的な作業を自動化し、自動運転配車サービスの乗客に安全で快適な旅を提供する」と話している。同社は今後数カ月にわたり、車内分析の自動化状況と顧客体験をテストする予定で、テスト中は安全のためのドライバーも同乗し、プロセスを監視する。

 モイアは、ハンブルクで欧州最大の乗り合い交通サービスを運営し、これまでに1000万人以上の乗客を運んでいる。自動運転サービスへの移行には、インテリジェントな車両のほかにサービスや車両運用の自動化プロセスおよび強力なソフトウェア・プラットフォームも必要になる。モイアは、自動運転サービスのバリューチェーン全体を事業の対象にし、欧州の都市や交通会社に自動運転乗り合いサービスの運営に必要なすべてのコンポーネントを提供している。