Tuesday, September 03, 2024 7:04 AM

GAC、高回転モーターの量産開始〜EVの航続距離を大きく延長

 中国のGACグループ(広州汽車集団)は、モーターの回転数が高く、効率も大幅に向上された新しい電気駆動システム「クォーク・エレクトリックドライブ2.0(Quark Electric Drive 2.0)」の量産を開始した。

 インサイドEVsによると、モーターの回転数は現在市場に出回る製品では最高の1分間に3万回(rpm)で、一般的なEVモーターの約2倍に上る。GACは、この新型駆動ユニットに切り替えると航続距離が普通のEVで31マイル、航続距離延長型EVでは93マイル延長されると説明している。

 ただし、同社はモーターの出力密度(13kW/kg)と効率(98.5%)も世界最高と話しているが、出力密度は「ルシッド・エア」の駆動ユニットより低い。ルシッドのモーターは1ポンド当たり10馬力を提供し、概算すると出力密度は16kW/kg超となるため、GACのほかの主張にも疑問が残る。

 GACは、このモーターをラインナップに加えることで、年間900億kWhの電力量を節約できると見ている。同モーターは、透磁率が通常使用されるシリコン含有量の多い電気鋼の100倍というアモルファス軟質合金から作られた磁石などの画期的な技術を搭載して、性能や効率を向上させている。

 以前は「Aion Hyper」として知られていたGACのサブブランド車に搭載され、3種のモデルのうち「Hyptec SSR」が最初に中国から輸出され、東南アジア、欧州、中東、南米で販売される予定。「SSR」は、1200馬力以上、0〜62mph(100km/h)の加速が2秒以下、中国での価格は18万〜24万5000ドルというEVのスーパーカーとなる。これは同国で製造される車としては最も高価な車の一つで、輸出向けは価格が上がる可能性が高い。

 中国メディアによると、新型モーターは、後輪操舵で車の回転半径を40%縮小する「スマート・デジタル・シャシー」と呼ばれるGACの更新版EVプラットフォームと組み合わされるという。また、業界初という「フュージョン・エレクトロニック・ディファレンシャル・ロック」も搭載される。これは、10年以上前から市販車に搭載されているエレクトロニックLSD(リミテッドスリップディファレンシャル)技術と非常に似ているように見える。