Monday, September 16, 2024 7:20 AM

ヘリウム需要、35年までに倍増か〜半導体生産の活況で

 ヘリウムの世界需要が、2035年までにほぼ倍増する可能性が高いとの調査結果を、英市場調査会社アイディーテックエックス(IDTechEx)が発表した。

 ロイターによると、冷却に使えて不活性という特性から製造業で広く利用されているヘリウムの世界需要は、35年までに3億2200万立方メートルを超える可能性がある。特に半導体産業では、24年以降5倍に増加する可能性が高いという。世界のヘリウム生産量は、19〜23年の平均が約1億6000万立方フィートだった。

 世界半導体貿易統計(WSTS)によると、人工知能(AI)向けの強い需要の中、24年の世界半導体市場は13.1%の成長が見込まれている。

 ヘリウムは半導体を製造する際の熱管理に不可欠で、今のところ代替可能なものはない。限りある資源のため、AI、量子コンピューティング、電気通信、航空宇宙、電気自動車(EV)などの産業からの需要高騰により、世界の埋蔵量はかなり早いペースで枯渇する可能性があるという。

 水素に次いで軽い元素であるヘリウムの生産量は、カタールとロシアが生産量を増やしていることから増加が見込まれる。しかし、地政学的緊張を背景に供給が滞らないという保証はない、と報告書は指摘した。

 世界のヘリウム生産大手には、エア・プロダクツ、リンデ、エア・リキード、非上場のゼファー・ソリューションズなどがある。