Tuesday, January 14, 2025 6:43 AM
ファクトリアル、全固体電池の大容量化に成功
EV向け固体電池技術開発のファクトリアル(Factorial、マサチューセッツ州)は、同社初の全固体電池「Solstice(ソルスティス)」の容量を40アンペア時(Ah)まで拡大することに成功した。
ビジネスワイヤーによると、ソルスティスのAサンプルは、新しい乾式正極コーティング技術を使って製造されており、高いエネルギー密度を達成している。同社の技術は、正極コーティング工程から有害な溶剤をすべて排除した新しい電池製造法で、これらの溶剤は発がん性があるだけでなく、リサイクルする際には化学物質の蒸発に大量のエネルギーを消費する。
また、ソルスティスは独自の設計によりフォーメーション(電池性能を引き上げるための初期充放電)の工程が必要ない。
一般的に、リチウムイオン電池の製造ではコーティングとフォーメーション工程が最もエネルギーを消費する。ファクトリアルは、乾式コーティングと革新的な全固体電池技術の併用で、運用コストやエネルギー消費量を減らし、電池製造が環境に与える影響を最小限に抑えている。
同社は、乾式正極コーティング技術を自社で確立するため、マサチューセッツ州にある先進開発センターで特注装置を使って40Ahの「ソルスティス」電池を開発。ライフサイクル試験では、小型プロトタイプはすでに充放電サイクルが2000回を超えている。
シユ・フアンCEOは「画期的な全固体電池の性能は、商業利用が可能なサイズにスケールアップしてこそ意味を持つ。今回の成果は、革新的な電池技術を自動車向けの高水準に到達させる上で、当社が技術的リーダーシップを発揮し、比類のない専門知識を持つことを示している」と述べた。
ソルスティスは、ファクトリアルの独自技術「FEST(ファクトリアル・エレクトロライト・システム・テクノロジー)」を補完するため、メルセデス・ベンツとの提携で開発された。乗用車のほか、エネルギー貯蔵、家電、商用車などに使用できる。